意思伝達装置を使う

 

意思伝達装置の基本的な使い方を「動画」でご紹介します。

正式には、

「重度障害者用意思伝達装置」といいます。
略して、意思伝とか意思伝達装置とも呼ばれています。

デジタル機器(パソコンやマイコン)を用い、マウスやキーボードの代わりに、外部スイッチを使って「文字」入力を行い、その文章を装置が「読み上げ」てくれる機器です。

手足の自由や声を失い、意思疎通が困難な方が、指先や足などでスイッチを操作して、自らの「言いたいこと」を伝えることができる道具のことです。最近はスイッチ操作の他に、視線による操作が可能な機器も増えてきました。

「視線入力式」意思伝達装置の、操作例をご紹介します。

視線でキーボードの「文字」を選んで、注視(一定時間見つめる)することにより「文字」を確定します。次に「発話」を注視することにより、選んだ文字を装置が「読み上げ」てくれます。

意思伝達装置は、「文字入力→読み上げ」だけでなく、音(ブザー)を鳴らして人を呼んだり、テレビなどをリモコンのかわりに操作したり、インターネットやメールを使ったりすることもできます。

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外部接続された「スイッチ」で、「言いたいこと」を伝えることが可能です。

一例として、PPSスイッチ:ディップスポンジセンサー をご紹介します。

PPSスイッチ、正式には「 Piezo Pneumatic Sensor Switch」
ピエゾ ニューマチック センサー スイッチ といいます。

板状の白いスポンジ内部の「空気」が押されることで、チューブにつながれた「PPSスイッチ:本体(写真左側の箱)」が感知します。16段階の感度が設定でき、たとえば指先のわずかな動きでも反応させることができるスイッチです。

通常のパソコン操作は、マウスとキーボードを使って行われますが、意思伝達装置は、限られた身体部位の動作で「スイッチ」を操作することにより、相手に自分の「思いを伝える」ことができます。

・指先、指や手のひらの表層筋、肘や肩の動作
・あご、唇、頬を動かす、息を吹きかける
・瞼、眉上の表層筋を動かす
・下肢…足指、踵の動作
・視線…じっと見つめる、まばたきをする       等々、

様々な身体部位を使って、操作できる「スイッチ」が数多くあります。
使う方のその時々の症状に応じ、一番使いやすい「スイッチ」を選定することで、意思疎通が楽にできるようになります。

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外部「スイッチ」を接続した機器の操作例をご紹介します。

・意思伝達装置「伝の心」の、「文字選択→読み上げ」
この動画では、自作の「押しボタンスイッチ」を、右手の親指で押して操作しています。

ノートパソコンのモニターに映しだされた「スクリーンキーボード」上を、カーソルが「オートスキャン」で動くことで、一文字(一項目)を「スイッチ」で選ぶことが可能です。
文章が完成したら、「読み上げ」という項目を選択すれば、装置が「読み上げ」てくれます。

声を失っても、自分の「思いを伝えられる」

「スイッチ」の操作だけで、意思疎通が可能になります。

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健常者と変わらず、デジタル機器を使えるように考え抜かれた道具です。

身体動作の制限が多くなり、声を失い、たとえ寝たきりになっても、外部接続された「スイッチ」でデジタル機器を操作することができます。

それぞれの機種により、多少の違いはありますが、
主な機能としては、
・「言葉を伝える」 スイッチで文字を入力し、装置に読み上げさせて「言いたいこと」を伝えられます。

・「定型文読み上げ」 普段よく使う言葉を、事前に登録しておけば、素早く読み上げさせることができます。

・「呼音」 スイッチで音(ブザー)を鳴らし、近くにいる人を呼び出すことができます。ワイヤレスコール(別売)を取り付ければ、離れた部屋の人にも知らせることができます。

・「文書の作成、保存」 もできます。

ほかにも、
・「リモコン操作」 テレビ、エアコンなどの機器操作ができます。
国産のテレビやビデオ付属の「赤外線リモコン」の動作を、スイッチ操作により動かすことが可能となります。(別途「なんでもIR」が必要)

・「インターネットやメール」 を利用できます。最新のニュースやウェブ情報、そしてSNSやメールにより仲間や友人とつながることができます。
インターネット及びメールについては、別途の通信契約(NTTやKDDI等回線事業者、及び接続事業者との契約が前提)が必要です。

意思伝達装置は、「スイッチ」操作によりパソコンやマイコンを使えるように考案されたものです。
しかし、お使いなる機器により、一部操作できないアプリソフトや動作もありえます。
詳しくは、さまざまな意思伝達手段を紹介したページ「何がある?」をご覧いただき、各機種のメーカーにお問い合わせください。

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外部「スイッチ」の代わりに、専用の「視線入力装置」によりパソコンの操作が可能です。

カーソルの移動は「視線の移動」によって行い、決定(マウスで行うクリック操作)は、
・注視(一定時間見つめる)
・まばたき            
で行うことができます。

意思伝達装置でも、視線入力が可能なものが増えてきています。
視線で直接「文字や項目」を選びとれるので、自動で順番にカーソルが移動していくのを待つ「スイッチ」操作より便利です。

その素早さと使いやすさがメリットではありますが、
使う方の「独自な視線の動き」を機器が的確に読み取れるかどうかで、使い勝手が大きく変わることもありえます。

「眼の状態」や「使用環境」にも、左右されることもあります。
・視力の左右差が大きい、片目の視力がほとんど無い
・目力が弱い、一定ではない、
・注視が持続できない、眼振がある
・眼鏡使用、室内照明
・注視の場合は、目の渇きや疲れ
・瞬きの場合は、通常の瞬きとの区別の問題

事前の「視線入力装置」の設定が大切です。うまくその方にフィットする場合と、眼の疲労、酷使により使用できなくなる場合もあります。

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一例として、 意思伝達装置 miyasuku EyeConSW の操作例をご紹介します。

外部「スイッチ」の代わりに、「視線」での入力操作をしています。

意思伝達装置 miyasuku EyeConSW は、

キーボードやマウスの代わりに、
・視線で「文字」を選んで、注視することで「確定」し、「発話」にて「読み上げ」てくれます。
また、ひらがな入力だけでなく、英数字、漢字変換にての文書作成、保存、読出も可能です。

入力方式は、
・視線のみで「文字」を選択し、注視することで「確定」入力
・視線で「文字」を選択し、外部接続されたスイッチで「確定」入力
・スイッチだけで、「文字」を選択し、「確定」入力

3つの「操作方法」を、その都度切り替えて使うことができます。

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一文字一文字、スイッチ操作での「文字入力」は、時間がかかります。

普段使うことの多い「言葉」をあらかじめ、装置に入力さえしておけば、
その定型文のリストから伝えたい言葉を「選択」し、素早く「読み上げ」させることが可能です。

意思伝達装置「miyasuku EyeConSW」 定型文の一例をご紹介します。

パソコンに詳しい介助者を見つけて「よく使う語句」を登録してもらってください。
また、当事者自らの操作で、「定型文」を登録することが可能な機種もあります。

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装置本体内蔵の「ブザー」をスイッチ操作で鳴らすことができます。
また、ワイヤレスの「呼び鈴」機器を接続すれば、離れた部屋にいる人を呼び出すことも可能です。(電波の届く範囲は建物環境により左右されます)

ただし、病院入院時に使われている「ナースコール」ではありませんので、生命や健康に重大な影響が及ぶような使い方はお避けください。

意思伝達装置「OriHime eye」の、呼び出し…をご紹介します。

意思伝達装置「伝の心」の、呼音…をご紹介します。

意思伝達装置「miyasuku EyeConSW」の、アラーム…をご紹介します。

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意思伝達装置は、パソコンベースのものであれば、インターネットに繋ぐことにより、ウェブサーフィンやメールも可能です。

一例をご紹介します。意思伝達装置「miyasuku EyeConSW」

インターネットで、「発信」している当事者の方も、多数いらっしゃいます。
ICT(情報通信技術)を駆使して、世界中の人々と、親しいお仲間とつながることができます。

よねざわかずやさん(ALS)
札幌のコミュティーFMラジオ「三角山放送局」にて、「ALSのたわごと」番組を続けています。

三角山放送局「ALSのたわごと」(毎月第4土曜日13時~14時、再放送22時~)

インターネットやメールを使うには、回線接続事業者(NTT、KDDI、JCOM等)と、プロバイダ:インターネット接続事業者(@nifty、ぷらら、Yahoo!BB等)の双方と契約し、インターネットが使える環境になっていることが必要です。(両方同時に契約できる場合もあります、各事業者にご確認ください)

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声をだせない、身振り手振りができなくなっていく…
 いくつかの「簡易なコミュニケーション方法」をご紹介します。

文字盤や口文字(くちもじ)といった、パソコンなどを使わない「意思伝達方法:アナログ方式」があります。

簡単な「コミュケーション手段」.ですが、常に、介助者側:相手の「助け」が必要となります。

・言葉かけ:介助者が、あらかじめ「当事者が言いたいこと」を想像して話しかけ、当事者が「まばたきや唇を動かす動作」で「YES、NO」を答える方式です。
「あ、うん」の呼吸で即座に伝えられる時は良いのですが、うまく伝わらない場合、この「言葉かけ」が延々と繰り返されることになり、伝える気持ちがそがれたりしてしまいます。双方に、忍耐と集中力が必要となります。

・透明文字盤:介助者が当事者と向き合い、透明な文字盤を当事者の目に向けて示す。当事者が一文字の位置を「見つめる」ことにより、その文字を介助者が読み取ってくれる。これを繰り返すことにより「言いたいこと」が伝えられます。短文向きで、長文を伝えたいときは、介助者側の習熟度に左右されます。

一例として、「透明文字盤の利用例」をご紹介します。

日本ALS協会広島県支部長、三保浩一郎(ALS)さんの「YOUTUBE公開動画」をご紹介させていただきます。この動画、編集作業も意思伝達機器で行なっているそうです。

・口文字:文字盤を使わないで、「言いたいこと」を介助者主導で読み取る方法。かなり高い習熟度が求められます。しかし、普段近くにいる介助者がこの「口文字」を習得できたら、素早いコミュニケーションが可能になるでしょう。

一例として、「口文字の利用例」をご紹介します。

口文字コミュニケーションのススメ
自立生活センター北見 代表 渡辺哲也(ALS)さんの「YOUTUBE公開動画」をご紹介させていただきます。

このようなアナログ方式は、当事者と介助者双方に、高い集中力と忍耐が必要となります。
介助者の読み取り技術や当事者との意思疎通の程度により、伝わり方に大きな差がでることもあります。

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デジタル機器で、意思疎通ができるようになっても、

「停電」になったら、どうしますか?
電源が確保できないと、意思伝達装置は使えません。

装置を導入をするとともに、アナログ方式での「意思伝達手段」も、必ず練習しておくべきでしょう。

周りの方々が、「言葉かけ」をしてくれる。そして自らが動かせる部位で応答「はい、いいえ」ができる。これが一番早道の意思疎通です。
特に「口文字」コミュニケーションは、読み取り側が習熟していれば、素早く「言いたいこと」を伝えることができるやり方です。

そのためには、普段一番長く接してくれる「介助者」との練習が大切になってきます。個人差はあると思いますが、2~5か月位の毎日の練習にて、十分にできるようになると思います。

自分の「思い」や「言いたいこと」を、即座に相手に伝えられることが一番の喜びになります。

「口文字講習会」が、NHKほっかいどう(2017.09.27)にて、放送されましたのでご覧ください。

日本ALS協会理事(元ALS協会北海道支部長) 深瀬和文(ALS)さんの口文字講座の記録です。

さぁ、「口文字」の練習をはじめましょう。もちろん、楽しみながらですよね!

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進行性の神経難病の場合、進行していく症状は、皆同じとは限りません。

一例:進行性の症状として、声をだしにくくなったが、歩くことや簡単な手作業は行える。この状態が半年とか、1年、2年と続く方もいます。

意思伝達装置の導入前に、まずは簡易な「会話補助装置」を使うこともできます。

・ボイスキャリーペチャラ
・指伝話、指伝話文字盤
・トーキングエイド     等

障害者支援制度の各種制度を活用し、導入することも可能です。
詳しくは、iCareほっかいどうにお問い合わせください。

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実際に導入していく際のポイントを、順次ご説明していきます。

大きく分けて、接点式とセンサー式があります。

接点式は、
ボタンを「押す」とスイッチオンになる機器。軽い力でも操作できる機種もありますが、「押す」という身体動作ができることが前提です。
・指、手のひら、手の甲、肘、肩、足指、足の甲、踵、膝…顎、頭、頬(首が左右に動けば可能)…動かせる部位で、押して使えるスイッチのことです。

画像:ベッドボードに固定されたアームに取付られたスイッチ「ジェリービーンスイッチツイスト」を、足首を動かし足の甲で押している例です。

センサー式は、
押さなくても、「触れる」、一定の距離「近づける、離れる」ことでスイッチオンになる機器です。空気圧やセンサーで感知しますので、微妙な調整が可能です。
・指、手、足、頬や舌で触れたり、息を吹き込んだり、額などにセンサーを貼って眉を上げたりしての操作が可能です。

ファイバースイッチの動作例をご紹介します。

その他、最近では「視線の動き」を利用してスイッチ操作するものもあります。

スイッチは、いろいろななタイプがありますので、
進行性の症状の方でも、その都度その時点で「動かせる身体部位」でスイッチ操作を試し選定することができます。

 

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意思伝達装置を操作するために、どのスイッチを使うか、うまく使えるのか。これが一番デリケートで時間を要するところです。

・正確に、押せるのか、感知させられるのか?
力が入れられるのか、動かなかったり、指や手が震えたり、いきなり突発的に反応したりしないか…
いつも、一定の動作ができにくい場合もありえます。

・長時間使えるのか、繰り返し動作できるのか?
疲れると動かせない、眼振:視線が震えて一点を見つめられない、両目でしっかりと見続けられない…
だんだん、目が見えずらくなっていく場合もありえます。

徐々に動かなくなる進行性の難病の場合、たとえばALS、多系統萎縮症のケースでは、腕や手や指、そして足が動かしにくくなっていく過程のどこかで、「スイッチ」を選定しなければなりません。この適切なタイミングは、医療者:主治医の判断となります。

導入する段階で、動かせる「身体動作」が、どの部位でどの程度なのかを把握し、使えそうなスイッチを試す、これを繰り返しながら「使える機種」を選定していきます。

画像:左手中指の指先をわずかに伸ばす(手の甲側にあげる)ことで、プラケーススイッチ(透明な部分)を押している例です。

 

意思伝達装置は、近年「視線」入力の依存度が高まってきています。かかる費用が、通常のスイッチ式と変わらなくなってきていることがあげられます。
視線入力は、まず、モニターに表示された「文字」や機能ボタンから、たとえば「文字」を選んで、注視(一定の時間見つめ続ける)、あるいは、まばたきにて「確定」入力します。

実際に体験してみて、スイッチ操作より楽な方法だと思われる方が多いのですが、
視線入力装置の細かな調整や、意思伝本体の設定により、当事者が使いこなせるかどうかが決まります。注意したいのは、決して誰にでも「万能」ではないということです。

・長時間の使用による、眼の酷使からくる眼病を発症したりした例もでております。

「視線」だけでなく、スイッチ操作が使える「身体動作が可能なら」なら、まずは当事者に適した「スイッチ」を使うこともお勧めします。

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